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マシニングセンタとタッチプローブによる機上測定とは│製造業向けCAD/CAM/CAEシステムのセイロジャパン

マシニングセンタ+タッチプローブで曲面上を測定するには?【機上測定】

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マシニングセンタ+タッチプローブで曲面上を測定するには?【機上測定】

マシニングセンタとタッチプローブによる曲面の測定について説明します。

Cimatron課の戸村です。
マシニングセンタで加工したワークに勾配面や曲面がある場合、測定はどうなさっていますか?

ここでは、マシニングセンタとタッチプローブによる機上測定について、以下の疑問にお応えします。

  • 曲面の何を測定できるのか
  • 曲面の測定に何が必要なのか





曲面の何を測定できるのか?

機上測定は、加工機に固定された加工ワークを測定します。
つまり、測定対象は「加工ワーク」となります。

測定内容は、使用する測定機器によって変わってきます。

3Dスキャナーを使えば「形状」を測定できます!

3Dスキャナーを使用することで、「形状」を測定できます。
加工機に固定されたワークを測定すれば、「機上測定」に該当します。

実際には「形状」を膨大な「点群」として測定できます。
この点群データからSTLという特殊な形状データに変換できます。
STLは、三角形の集まりで形状を表すデータ形式です。
図は3次元モデルをSTLに変換したものです。

STLデータは3Dプリンターでも利用されています。

切削加工では、STLデータをストック形状(加工前の形状)として利用する方法があります。
また、STLデータから加工の軌跡データを生成して削り出すことも可能です。
ただし、どちらもSTLに対応したCAMソフトウェアが必要です。

弊社が販売・サポートしているCimatronは、上記の利用の他にSTLデータを編集することも可能です。
STLデータを使って加工した動画があります。
ご関心のある方は下記のリンクからご覧ください。

Cimatron精密加工 - シボ加工
Cimatron精密加工 – STL加工

弊社は3Dスキャナーも取り扱っています。

タッチプローブで面上の点(座標)を測定できます!

タッチプローブを使って面上の点(座標)を測定できます。

幅寸法は、向かい合う2面の点の座標から得られます。
半径または直径は、円筒面上の3点があれば得られます。

では、勾配面や曲面上の点(座標)も測定できるのでしょうか?
結論から言えば、「できます!」
※加工機の制御装置(CNC)によっては困難な場合があります。

では曲面上の点を測定するには何が必要なのかを見てみましょう。





タッチプローブで曲面上の点(座標)を測定するには?

タッチプローブを測定点に接触させる

曲面上の点を測定するには、タッチプローブを測定点にピッタリ接触させる必要があります。

タッチプローブの先端は球体になっています。
これは「スタイラス球」と呼ばれています。
球体なので測定対象に点で接触します。
この接触点が測定点になるようにタッチプローブの位置を合わせる必要があります。

しかし測定対象は寸法通りとは限りません。

タッチプローブは面直方向に沿って正しい軌道で接近させる

曲面を測定するには、以下の2点が重要ポイントです。

  • 測定点の面直方向に沿って接近させる。
  • 測定点から面直方向の軸線上を、先端球の中心が通る軌道にする。

理由は3つあります。

  • 面直方向は面上の位置で異なるため
  • 測定点と最短の位置に接触させるため
  • 接触点の位置を特定するため

では、水平方向で接近させる場合は何が問題なのでしょう。

水平方向に接近させると曲面との接触位置がわからない!

測定対象の曲面に水平方向から接触させると、接触点の位置を正確に取得できません。

平らな面ではなく、「曲面」だからです。
取得できるのは「タッチプローブの位置」です。
接触点の位置ではありません。
タッチプローブの先端球表面に、微細なセンサーが無数に取り付けられているわけでは無いからです。

図は、測定点に接触できる高さで接近させた例です。
測定対象が削り残っているのか、削り込んでいるかは測定しないとわかりせん。

しかも曲面です。そのため接触点の位置を正確に特定することは困難となります。
削り残りの厚みも正確に測定することは困難です。

では、垂直方向に接近させる場合はどうでしょう。

垂直方向に接近させると曲面との接触位置がわからない!

測定対象の曲面に垂直方向から接触させると、接触点の位置を正確に取得できません。

水平方向と同じ理由です。
平らな面ではなく、「曲面」だからです。

図は、測定点に接触できるX座標&Y座標で垂直に接近させた例です。

測定対象が削り残っているのか、削り込んでいるかは測定しないとわかりせん。
しかも曲面です。そのため接触点の位置を正確に特定することは困難となります。
削り残りの厚みも正確に測定することは困難です。

接触点の位置を正しく取得するには、面直方向に沿って接近させる必要があります。
では軌道はどうでしょう。

面直方向に接近させても軌道が違うと接触位置を特定できない!

測定対象の曲面に面直方向に沿って接近させても、軌道を間違うと接触点の位置を正確に取得できません。

図では、測定点から面直方向の軸線上をタッチプローブの先端が通っています。
これでは、接触点の位置を特定できません。
取得できるのはタッチプローブの位置(座標)のみです。

測定点に向かって、先端球の中心を面直方向の逆方向に接近させる

曲面上の点を測定するには、接近させる方向が重要です。
正確な位置を測定するには、面直方向に沿って接近させます。
面直方向の逆方向です。面直方向は面の外側に向かう方向なので、接近するのは逆方向です。

またどこを通るかも重要です。軌道です。
タッチプローブの先端球中心が、測定点に向かって真っすぐ進む軌道です。

その結果、一直線上に3つの点が並びます。

  • 測定点
  • 実際の接触点
  • 先端球の中心


この直線の方向は面直方向と平行ですから、先端球の中心座標から接触点の位置を取得できるというわけです。





実際に曲面の点を測定するには

測定プログラムが必要

曲面上の点を実際に測定するためには、測定プログラムが必要です。

タッチプローブを手動操作であらゆる方向に移動させるのは困難であるためです。

専用のソフトウェアが必要

曲面上の点を測定する測定プログラムを簡単に作成できる専用ソフトウェアが必要です。

手入力で測定プログラムを作成するのは困難であるためです。

機上測定の専用ソフトウェアにはいくつか種類があります。

  • 機械メーカが提供している形状測定機能
  • CAMソフトウェアの機上測定機能
  • 単独の機上測定ソフトウェア

CAMソフトウェアの機上測定機能の場合、加工機側に形状測定機能が別途必要な場合があります。
ご使用のCAMソフトウェアのメーカまたは商社にご確認ください。

弊社が販売・サポートしているCimatronの機上測定オプションは、CAMライセンスの他にCADライセンスでも使用できます。





まとめ

マシニングセンタ+タッチプローブで、曲面上の点を測定することは可能です。

そのためには、専用のソフトウェアが必要です。

測定プログラムを簡単に作成できるためです。
曲面上の点を測定するプログラムを手入力で作成するのはかなり困難です。

Cimatronをお使いの方へ

弊社が販売・サポートしている統合3次元CAD/CAMシステムCimatronには機上測定のオプションがあります。

ご関心をお持ちいただけましたら、弊社ホームページに紹介ページがありますので、こちらもぜひご覧ください。
この下にあるリンクをクリックすると紹介ページをご覧いただけます。

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