【板金プレス向け】3DのモデリングでハイブリッドCADは何が違うのか?

板金プレス部品のモデリングは、ソリッドCADならではのストレスがあり、サーフェイスCADならではの作業量が作業者の負担になります。
サーフェイス(面)とソリッドが融合したハイブリッドCADなら、厚みを気にせずにストレスフリーでモデリングできます。
Cimatron課の戸村です。
板金プレス部品をモデリングする際にストレスを感じていませんか?
ソリッドCADでは手順に悩み、手順をミスすると履歴を戻ってやり直すことになります。
板状なのがちょっと厄介です。
サーフェイスCADでは片面のみで済みます。
しかし頻発する面トリム操作が、作業者のメンタルと体力を削っていきます。
サーフェイスとソリッドが融合したハイブリッドCADなら片面のみのモデリングで済み、ソリッド機能で面倒な面張りや面トリムから開放されます。
そこで、図のようなサンプルモデルを例に、ソリッドCADとハイブリッドCADでのモデリングの違いを説明します。
これからご紹介する内容は、以下に該当する方を対象としています。
- 板金プレス部品に携わっている方
- サーフェイスCAD or CAMの経験者
- ソリッドCAD or CAMのモデリングでストレスを感じている方
- 3Dのモデリングに関心のある方

目次
ソリッドによるモデリングでは事前の段取り設計が重要!
「段取り八分仕事二分」と言われますが、ソリッドによるモデリングでも同様です。
ソリッドCADの前で作業者の手が止まっているのは、段取りを考えているからです。
では今回のサンプルモデルの場合はどのような手順になるでしょうか?
今回のサンプルモデルには「絞り」があります。
そのため、素直に製品形状をモデリングすることになります。
「曲げ」のみの形状であれば、展開した形状をモデリングしてソリッドの機能で曲げていく方法もできるでしょう。
肉厚が一定の板金プレス部品の場合は、「厚み付け」をなるべく最後にしたいところです。
「絞り」や「曲げ」のフィレットRが表と裏にあるからです。
フィレットRを付けた後に「厚み付け」をするとラクです。
では「厚み付け」は最後で良いかと言うとそうとも言えません。
「窓」があるからです。
「厚み付け」の後で「窓」を開けます。
図のように失敗するリスクを回避でき、手間を削減できるからです。
ソリッドCADとハイブリッドCADのモデリング手順を比較(板金プレス部品)
ソリッドCADとハイブリッドCADで板金プレス部品のモデリング手順を比較してみましょう。
ハイブリッドCADでは、その特性を活かしたストレスフリーのモデリング手順にしています。
なお、ソリッドCADと同様のモデリングも可能です。
なるべく少ない手数で、且つストレスの少ないモデリングはどちらだと思いますか?
ハイブリッドCADの手順は、一見するとサーフェイスCADのモデリングに見えるでしょう。
サーフェイスのように見えますが特殊なソリッドです。厚みがゼロの「オープンソリッド」です。
ハイブリッドCADでは、サーフェイスはオープンソリッドとしてソリッドと融合しています。
そのため、ソリッドとサーフェイスの両方の機能を使ってモデリングできます。
違い1)ハイブリッドCADは片面のみでモデリングできる!
サーフェイスとソリッドが融合したハイブリッドCADでは、表側の形状だけでモデリングできます。裏面のみでもOKです。
厚みゼロの「オープンソリッド」に対応しているからです。
サーフェイスCADを経験された方には馴染みやすいかも知れません。
サーフェイスとソリッドの機能が使えるのでラクラクです!
違い2)ハイブリッドCADは頭脳への負担が少ない!
ソリッドCADはサーフェイスCADに比べて少ない手数でモデリングできます。
手数が減る代わりに、頭脳の負荷が増えます。
ソリッドの「閉じていること」という制限が頭脳に負荷をかけるのです。
モデリング途中の形状は、片面のみの方が最終形状に近いので、想像力の負担が少なくて済みます。
ソリッドCADでは厚み付け(シェル)のタイミングで悩みます。
判断ミスして無駄に手数を増やしたくないからです。
ハイブリッドCADでは厚み付けのタイミングで悩む必要はありません!
オープンソリッドに対応しているので、最後に厚み付けすればOKです。
ハイブリッドCADは低ストレス!
板金プレス部品は、片面のみでモデリングできる方がラクです。
その理由は3つ考えられます。
- 厚みを気にしなくて済む!=反対側のモデリングが不要! <工数削減>
- 厚み付け(シェル)などの手順で悩むことが減る! <工程設計の負担軽減>
- 板状でモデリングするので最終形状に似ていて見やすい! <視認性>
サーフェイスとソリッドが融合したハイブリッドCADは、片面のみでモデリングできます。
オープンソリッドに対応しているからです。
しかも、サーフェイスとソリッドの機能を両方使えます。
そのため、サーフェイスCADに比べて少ない手数でモデリングできます。

まとめ
ソリッドCADの「閉じていること」という制約にはメリットとデメリットがあります。
板金プレス部品ではデメリットと感ずることが多いでしょう。
大きな部品であればある程データ量が増え、1つ1つの演算処理が重くなりがちです。
インパネなどの薄肉のプラスチック製品でも同様です。
オープンソリッドなら片面のみで済むので比較的軽量でスムーズにモデリングできます。
CADやCAMのオペレータは、納期や生産性、効率といったプレッシャーの中で日々奮闘されています。
ですから、仕事に使用する道具はなるべく負担が少ないストレスフリーなものを選んでほしいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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