CADにおける3Dデータのファイル形式【社内勉強会レポート】

CADとは製造業界で設計する際に使われるソフトウェアです。
最近では、3Dソフトウェアに関する用語をよく見かけるようになりました。
この記事では、製造業界における3Dデータの形式にはどんな種類があるのか分かりやすく説明します。

目次
CADデータの形式について
CADデータの形式は大きく4つに分けられます。
1.CADソフト独自の保存形式
メーカーが違うと保存するファイル形式もみなバラバラです。
それぞれのCADソフトは専用のインターフェースが必要になります。
製品設計などに使用しているところは、使用しているCADソフトの保存ファイルを、取引先などに渡していることもあります。
そのため、協力会社などはメーカーが使用するソフトと同じソフトを購入しておくこともあります。
例)CATIA, SolidWorks, NX, Creo, Inventor
2.ソリッドカーネルのファイル形式
現在流通しているCADソフトの一般的なものは大きく分けて二つあります。
・Parasolidカーネル
例)SolidWorks
・ACISカーネル
例)Cimatron
とくにParasolidカーネルが多く使用されています。
3.中間フォーマット
あるソフトウェアメーカーが開発したフォーマットが、多くの人に使われるようになり、CADソフト業界の標準フォーマットになったものと、ISO, ANSIなどの機関が設定した国際規格のものがあります。
例)IGES, STEP
4.軽量データ
ビューワ用にデータを軽くして形状を簡単に確認したい場合に開発したデータ形式もあります。
データを軽くしたことで細かいで精度は落ちるが、形状を確認するだけであれば十分とされるときに使用します。
例)DWF, JT
データ・インターフェースとは
インターフェースとは、異なる2つのものを繋げるもののことです。
また、繋げるために変換するもののことも指します。
データ・インターフェースとは、異なる形式のデータを読み込んだり、書き出すものを言います。
他に、ダイレクト・インターフェースというものもあります。
これは他社CADソフトの独自形式ファイルを読み込んだり、書き込んだりできるもののことです。
他社CADソフトから出力したデータを別のCADソフトに取り入れるときに、変換せず、そのままのファイル形式で読み込むことを指します。
なぜデータインターフェースが必要か
会社内で必要になる
中堅や大手企業になると、異なるソフトウェアで仕事することがあります。
一つの部署が複数のデータのやり取りをするときに必要になります。
・A社製CAD → B社製CAD
・C社製CAD → D社製CAM
・E社製CAD → F社製CAE
異なる会社間で必要になる
自社内だけでなく、外注依頼などデータを受け渡すときに必要になります。
受け取る側がソフトウェアを合わせたり、依頼する側がソフトウェアを合わせたり、状況は様々です。
あるいは、STEPなど標準フォーマットで出力し、指定するソフトウェア以外でも読み込むことができるようにする場合もあります。
CADデータファイルの拡張子
下記表に代表的な拡張子をあげてみました。
拡張子 | 説明 | 拡張子 | 説明 |
---|---|---|---|
.model | CATIA V1~V4のファイル形式 | .jt | Siemens PLM Software社が開発した軽量3Dモデル形式 |
.CATPart .CATProdet |
CATIA V5のファイル形式 | .dxf .dwg .dwf |
Autodesk社が開発したファイル形式(業界標準) Dxfは2D図面だけでなく3Dにも対応 |
.sldprt .sldasm |
SolidWorksのファイル形式 | .igs .iges |
IGESと呼ばれるファイル形式(ANSIが策定) ワイヤーフレーム、サーフェイス、ソリッドに対応 |
.prt | NXおよびUGのファイル形式 | .stp .step |
STEPと呼ばれるファイル形式(ソリッドのみ) ISOの標準規格になっている |
.prt .asm |
CreoおよびProEのファイル形式 | .stl | 3DSystems社が開発したファイル形式 ラピッドプロトタイピングの業界標準 |
.ipt .iam |
Inventorのファイル形式 | .obj | Wavefont社が開発したファイル形式 多数の3DCGソフトが採用 |
.x_t .x_b .xmt_txt |
Parasolidカーネル/データのファイル形式 | .amf | ISOとASTMで標準化されたファイル形式 ベースはXML |
.sat .sab |
ACISカーネル/データのファイル形式 | .3mf | 3MF委員会で開発&公開されたファイル形式 積層プリント用でベースはXML |
.x_tはParasolidカーネルの中でもよく見られるデータ形式です。
また、.prtのファイル形式は異なるソフトウェアでも同じファイル形式の名前がついていますが、中のデータはまったく違うデータとなっています。
Cimatronのインポート機能で読み込み可能なデータ形式
Cimatronのエクスポート機能で書き出し可能なデータ形式
インポートにはなかったPDFのファイル形式が出力できます。
Cimatronは、データを書き出す必要のない方のために読み込みのみの販売もしています。
CADデータのトランスレーター
トランスレーターとは、ファイルを別のファイル形式に変換するソフトウェアのことです。
例えば、成形メーカーから金型メーカーへ金型制作を依頼をすることがあります。
その際、金型メーカー側の対応できるデータ形式が違った時、トランスレーターを使ってファイルを変換し、依頼をかけることもあります。

まとめ
製造業界での3Dファイル形式には多くのデータ形式があります。
最近では3Dスキャナーや3Dプリンター、CGソフトなどさまざまな用途で3Dソフトウェアが使われるようになり、それによってインポートやエクスポートしたいファイル形式も気にする方が増えたように思います。
BtoB業界においてはハイエンドCADが一般的に使用されますが、中には人間を3Dスキャナーでスキャンし、それをもとに医療用品を作成するなどのケースもあります。
そのため、標準フォーマットであるSTLやSTEPなどのファイル形式は覚えておいても損はないでしょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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