【NCプログラムの作り方】新人の即戦力化におススメな方法は？【Gコードの勉強は必須？】

2023/09/05

技術ブログ

【NCプログラムの作り方】新人の即戦力化におススメな方法は？【Gコードの勉強は必須？】

本記事では、NCプログラムの作り方や各メリット、デメリットと、新人の即戦力化におススメの方法をご紹介いたします。
これからご説明する内容は、以下に該当する方を対象としています。
ぜひ、ご覧ください。

納得のいくNCプログラムを作るのに苦労している方
NCプログラム作成における新人教育に課題を感じている方

NCプログラムの作り方

NCプログラムとは、NC工作機械（旋盤、マシニングセンタなど）を動かすための加工プログラムです。 NC工作機械は手で動かす工作機械（汎用機）とは違い、どのような条件でどのように動かすのかを書いているプログラムで、主軸やテーブルが動きます。

具体的には、工具、速度などの加工する順番を、数値座標やGコード、Mコード等の記号を用いて表します。

NCプログラムからNC工作機械へ（Gコードなど）

このNCプログラムの作り方には、大きく3つあります。

1. 手打ち

NC工作機械に付いている制御装置を使い、オペレータが操作画面にGコードなどを直接入力して作る。

2. 対話式

NC工作機械に付いている制御装置を使い、オペレータが操作画面に従い加工条件や寸法を入力して作る。 Gコードなどが不要で機械と対話するように自動でプログラムを作成。

3. CAM（ソフトウェア）

PCを使い、使用工具や切削経路、加工順序などを決め、自動でNCプログラムを作成。データはUSBメモリやCFカード、ネットを使って制御装置に転送。

手打ち

対話式

CAMソフトウェア

各NCプログラム作成方法のメリットとデメリット

手打ちの場合

メリット

ハードやソフト購入などの設備導入費用が掛からない。
意図したように工具を動かせる。
加工現場でNCデータを直接修正できる。
作業効率・人材：対話式やCAMソフトウェアのように、導入設備の操作方法を覚える必要がない。

デメリット

NCコード（G、M、S、T、Fなど）を習得し、自力でNCプログラムが書けるようになるまで時間がかかる（一般的には半年から1年。複雑なものは、1～2年ほど）。
人によってプログラムの書き方にばらつきがあり、品質が安定しにくい。
NCデータを作成後、プログラムの確認のため機械を空運転させる必要がある。
複雑な形状加工が難しい。
数字を直接打ち込み、1文字でも間違えると正しく動かない。数値によってはぶつけて工具が折れるなど、オペレータの負担が大きい。

対話式の場合

メリット

機械に付属する場合は買う必要がなく、購入する場合も100万以下程度。
Gコード等を入力しないため、初心者でも短期間で覚えることが可能（一般的に1～2か月程度）。
手打ちに比べ、ミスが少ない。

デメリット

同時3軸以上のNCデータの作成は難しい（形状：PCマウス、船のプロペラなど）。
機械メーカーや、年式が違う場合は別の対話式を覚える必要がある。
機械操作とNCデータ作成の分業が難しく、CADCAMに比べ、仕事の効率アップに限界がある。
CADCAMに比べ、機械のシミュレーション（ホルダの登録など）がやりにくい場合が多い。

CAMの場合

メリット

同時3軸以上の複雑な加工ができる。
シミュレーションの確認が実加工と近いクオリティでできる。
分業での作業が可能となり、効率アップしやすい。
Gコードなどの入力が不要で、テンプレート化できる機能があり、操作性が高いCAMの場合、新人の即戦力化が可能。

デメリット

現場担当者の意見を反映していないNCデータをCAMで作成している場合、効率が上がらない。
操作が複雑な場合、習熟に時間がかかる。CAMを乗り換える際は再度学習が必要。
価格帯により機能の差が激しく、ミッドレンジ以上は対話式よりも高価な場合が多い。
ソフトウェアに合わせたスペックのPCが必要。

新人の即戦力化におススメな方法は？

それぞれ大まかではありますがメリット、デメリットをご紹介しました。 NCプログラムは、機械を動かし加工するために作成するのであり、どの方法がベストかは各社それぞれです。
求める納期・コスト・品質で加工できる、自社に合った作成方法をおススメします。

各作成方法の比較、おすすめの業界、会社

手打ち	・簡単な加工のみ行う。（簡単な穴加工、上面加工のみの加工など）・加工方法にこだわりが強い職人気質の方が多い。・量産加工が多い。（プログラム作成がたまにしかない）・NCプログラムが作成できる人材を確保、育成できる。
対話式	・2次元加工が多く、単純な加工形状が多い。（外周を綺麗する、穴を空ける、六角の穴など）・なるべく費用を抑えたい。
CAM	・複雑な形状を加工する。・新人でも、早い段階で仕事ができるようにしたい。・試作品が多い。

※設備の場合は幅広く様々な種類があるため、上記は大まかな基準としてご参考ください。

それぞれおススメがある一方で、労働人口が減っていく昨今、技術者不足については、今後多くの会社が迎えうる課題です。
経済産業省「2023年版ものづくり白書（概要）」では、製造業における65歳以上の高齢就業者数は2002～2020年の間で32万人増加。若年就業者数は2012年以降横ばいで増加傾向なしと発表されています。

また、製造業における能力開発や人材育成に関する問題点の内訳（2021年度）では、「指導する人材が不足している」とした事業所が6割を超えています。

経済産業省「2023年版ものづくり白書（概要）」より能力開発や人材育成に関する問題点の内訳
経済産業省「2023年版ものづくり白書（概要）」より引用

新人の即戦力化を考えている場合は、誰でも使いやすいCAMをおススメいたします。
また、CAMの場合ベンダーやメーカーにより異なりますが、講習やサポートなど外部に任せられる部分も副産物として挙げられます。