革新的ものづくり支援カンパニー CAD/CAM/CAEシステム 株式会社セイロジャパン

 
製造向けCAD/CAM/CAEシステムのセイロジャパン > メディア > 技術ブログ > 加工したワークの寸法測定を自動化するには【金型製造の場合】

加工したワークの寸法測定を自動化するには【金型製造の場合】

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
加工したワークの寸法測定を自動化するには【金型製造の場合】

加工したワークの寸法測定でお困りではありませんか?

特に多品種少量生産が基本となる金型製造において、「寸法測定の自動化」はハードルが高いと言われ続けています。

  • 「自動測定ができる3次元測定機(CMM)を導入しても、毎回プログラミングやティーチングをする手間のほうが大きい……」
  • 「そもそもワークが大きすぎて、3次元測定機に載せられない!」

このような課題から、結局は手作業での測定に頼らざるを得ない現場も少なくありません。

そこで本記事では、これらの問題を一挙に解決する「加工機そのものを測定機として活用し、寸法測定を自動化&無人化するアプローチ(機上測定)」をご紹介します。
自動化を実現するための具体的なポイントや、導入に必要なツールについて分かりやすく解説していきます。

【この記事のまとめ】

  • 金型製造における寸法測定の自動化は、複雑な形状や多品種少量生産という特性が大きなハードルとなっています。
  • しかし、加工機を測定機代わりにする「機上測定」を取り入れることで、ワークを動かさずに自動測定が行えます。
  • 専用ソフトの導入やエアー洗浄などのポイントを押さえることで、切削から測定までの完全な無人化・省力化が実現します。

そもそも機上測定とはどんなもの?どんなメリットがある?という方に。

目次
続きを展開する ▽





なぜ難しい?金型測定の自動化を阻む「3つの壁」

金型製造における寸法測定の自動化には、特有の技術的・運用のハードルが存在します。現場で自動化が進まない主な理由は以下の3つです。

理由1:自動測定に対応した「高額な測定機器」と「技術」が必要

自動化を進めるには、まず機器そのものが自動対応している必要がありますが、導入すればすぐに解決するわけではありません。

  • 3次元測定機(CMM)の場合
    自動測定が可能な「CNC駆動型」の測定機が必要不可欠です。さらに、自動で動かすためのプログラミング(ティーチング)作業という専門技術が求められます。
  • 画像処理測定機の場合
    こちらも自動対応の機種が必要ですが、技術的な難易度が上がります。画像処理は「エッジ(輪郭)」を検出して測定するため、任意の箇所の削り残しを正確に測定するのは困難です。
    また、照明の当て方ひとつでエッジの検出位置が微小に変化してしまうため、安定した自動測定プログラムを組むのは容易ではありません(※筆者も現場でこの調整に非常に苦労した経験があります)。

理由2:測定プログラムの作成に膨大な手間がかかる

3次元測定機や画像処理測定機を自動で動かすためのプログラミングには、想像以上の工数がかかります。

  • 基準出し(原点出し)のハードル
    単に寸法を測るだけでなく、「どこを基準に測るか」という最初の原点出しの工程まで、すべて正確にプログラム化する必要があります。
  • 複雑な形状への対応
    金型特有の「勾配面(テーパー)」や「自由曲面」の測定は、測定箇所の位置決めやアプローチの調整が非常に面倒で、プログラム作成の難易度を引き上げます。

理由3:金型特有の「多品種少量生産」という環境

最大のボトルネックは、金型部品の多くが「同じ形状のものが少ない(一点モノ)」という点です。
量産品であれば、一度時間をかけて測定プログラムを作れば何千、何万回と使い回せるため、自動化のメリットが最大化します。しかし、都度異なる形状を加工する金型製造では、「プログラムを作る時間 > 自動測定で浮く時間」となってしまい、コストパフォーマンスに見合わないのが実情です。





金型部品の寸法測定を自動化する現実的な方法はあるか?

加工機を測定機代わりにすることで自動&無人化する方法がある

加工されたワークを加工機上に置いたまま寸法測定する「機上測定」により、自動測定が実現します。

加工されたワークを加工機上に置いたまま寸法測定することを「機上測定」と言います。加工機を測定機代わりに利用することで、自動測定が可能となります。機上測定&自動測定によって、無人運転が可能となります。切削加工~寸法測定までを自動化&無人化することで、作業者の負担を軽減でき、工数とコストが削減できます。





加工ワークの寸法測定を自動化するポイント

1.加工機を測定機にする(機上測定)

3次元測定機と構造が類似しているマシニングセンターは、測定機代わりにすることが可能です。

マシニングセンターと呼ばれるミーリング加工機は、測定機代わりにすることが可能です。ただし、加工機の仕様上できない場合があります。測定機代わりにできる理由は3つあります。

理由1)3次元測定機と同様のタッチセンサーが使える(タッチプローブ)

加工機用のタッチプローブが使用できます。このタッチプローブは、3次元測定機で使われているタッチプローブと同様のタッチセンサーです。

理由2)3次元測定機と加工機の構造が類似している

3次元測定機と加工機のハードウェアを比較すると、その構成要素はかなり似ています。どちらも同様の構成要素を持っています。

  • 駆動軸(X軸、Y軸、Z軸)
  • タッチセンサー(タッチプローブ)

理由3)ソフトウェアの違いを補える

3次元測定機と加工機の大きな違いは測定機能です。つまりソフトウェアの違いです。加工機は測定機能が不足しています。これは「測定プログラム」で補うことができます。加工機の測定プログラムは、加工機が認識できるプログラムコードで記述します。

2.測定対象の加工ワークを動かさない

加工機上で寸法測定を完結させれば、人が関わる「ワークの移動や原点出し作業」が不要になります。

自動化には人が関わる「作業」を取り除くことが必要です。その一つが測定のための「ワーク移動」です。このワーク移動を取り除く方法は2つ考えられます。

  • 自動化できる設備を導入する(ロボットアーム+自動搬送装置など)
  • 加工機上で寸法測定する

加工機上で寸法測定ができれば、ワークの移動が不要となります。(上記2)更に追加工時のワーク移動も不要となります。また、次の作業も不要となります。

  • 3次元測定機上での原点出し作業
  • 追加工での原点出し作業

いずれも人が関わる「作業」です。

3.3次元のモデルデータを利用する

勾配面や曲面を正確に測定し、安全な軌道を確保するために3次元モデル(CAD)が必要です。

勾配面や曲面のある加工ワークを測定するために、3次元モデルが必要です。一般的にはソリッドモデルが適しています。サーフェイスモデルでも可能です。3次元モデルが必要な理由は3つあります。

理由1)接触するタッチプローブの位置を取得するため

タッチプローブの先端は球になっています。そのため、測定したい点にタッチプローブの先端球を正確に接触させる必要があります。この時のタッチプローブの位置を得るために、3次元モデルが必要です。

理由2)タッチプローブの安全な位置や軌道を確認するため

タッチプローブが安全な軌道を通るかどうかを確認するために、加工ワークの3次元モデルが必要です。タッチプローブの軌道と、加工ワークとの位置関係を確認できます。

理由3)測定点の座標算出に必要な情報を取得するため

必要なのは、加工ワークとタッチプローブが接触している点の座標です。この接触点の座標を得るためには「計算」が必要です。理由は、水平面以外だと図のようにタッチプローブの位置と異なるためです。

  • 接触時のタッチプローブの「位置(座標)」
  • タッチプローブの先端球の「半径(値)」
  • 接触点における測定面の「面直方向(ベクトル)」

3次元モデルがあれば、「面直方向」を得ることができます。

4.測定プログラムを作成できるソフトウェアを利用する

専用ソフトウェアを使うことで、視覚的にわかりやすく安全性の高い測定プログラムを作成できます。

測定プログラムの作成には、専用ソフトウェアの利用をおすすめします。おすすめする理由は3つあります。

理由1)視覚的にわかりやすい

機上測定の専用ソフトウェアは、3次元モデルに対応していることが多いです。形状を見ながら、3次元モデル上で測定位置を指定できます。また、タッチプローブを降ろす位置や3次元モデルとの距離、軌道などを画面上で確認できます。

理由2)測定プログラムの安全性が高い

タッチプローブが加工ワークに衝突することは避けなければなりません。専用ソフトウェアはタッチプローブの軌道を確認できます。危険を検知できれば、軌道を修正して安全な測定プログラムを作成できます。奥深い場所を測定する場合は特に注意が必要です。

理由3)測定結果と3次元モデルを比較できる

切削加工の場合は、削り残り(または削り過ぎ)の量(=厚み)が重要となります。この量(=厚み)を測定するには、測定結果の座標と3次元モデルの比較が必要です。これを助けてくれるのが専用ソフトウェアです。

測定結果の座標から、削り残り(または削り過ぎ)の量を得る方法は2つ考えられます。

  • 専用ソフトウェアに測定結果を取り込んで比較する
  • 測定プログラム内で比較する

この削り残り(または削り過ぎ)の量を自動で算出したい場合は、上記2が適していると考えられます。上記1でも自動算出の機能がある専用ソフトであれば可能と考えられます。

弊社は上記2を優先して機上測定用ソフトウェアを開発しました。このソフトウェアが出力する測定プログラムは、削り残り/過ぎの量を自動で測定できます。





寸法測定の自動化を始めるために「必要なもの」リスト

寸法測定を自動化するために必要なものは以下の6つです。

必要なもの 詳しい条件・仕様 導入時の注意点・アドバイス
1.タッチプローブ

切削加工の原点出しに使用しているタッチプローブを使用します。原点出しが自動の場合、自動測定が可能です。
手動タイプ(ダイヤル式)は加工機と通信できないため自動測定は困難。機械商社やメーカへの相談が必要です。
2.タッチプローブ対応の加工機

次のどちらかを満たす加工機が必要です。
1. 「G31(スキップ機能)」が使用できる
2. 寸法測定の指令が使用できる
FANUC社以外のNC装置では、標準で寸法測定機能を搭載している場合があります。
3.加工機側の測定機能

1.「搭載されている測定機能」+測定プログラム
2.「寸法測定オプション」+測定プログラム
3. 測定プログラムのみ(例外)
一般的には2が多く、寸法測定オプションがない場合は追加購入が必要です。空きメモリ容量に注意。
4.機上測定のソフトウェア

測定の工程を設計し、測定プログラムを出力できるPC用のソフトウェアが必要です。加工機の使用状況に影響されず、分業により生産効率が向上します。
目的・運用に適したソフトウェアの選定が重要です。
5.運用のカスタマイズ

加工機と運用方法に合わせたカスタマイズが必要です。
他システムと連携させる場合は、事前に連携可否を確認する必要があります。
6.LAN接続されたPC

1. 稼働管理システムを利用して収集(変数を参照)
2. ファイル送受信ソフトを利用して収集(結果ファイルを収集)
測定結果を自動収集したい場合に必要です。画像:
自動測定に対応したタッチプローブの導入が必要な場合は?

加工機を購入された機械商社または機械メーカに相談してください。加工機側に受信機の取り付けと配線が必要であるためです。なお、機械メーカが推奨しているタッチプローブであれば測定に問題はありません。





切削加工〜寸法測定までを「無人化」する3つの工夫

加工機を使って寸法測定を行うわけですから、切削加工から寸法測定までを自動化&無人化したいところです。そのためのポイントは3つあります。

1.加工と測定のプログラムを連続して実行できるようにする

メインプログラムの作成やスケジュール管理システムへの登録により、連続運転を可能にします。

切削加工と寸法測定を連続して無人運転するためには、各プログラムを連続して実行できる必要があります。パターンは2つあります。

  • 加工スケジュールを管理するシステムに登録する
  • メインプログラムを用意する

上記1は、システムに測定プログラムの実行スケジュールを登録するだけで済みます。上記2は、加工と測定のプログラムを呼び出す「メインプログラム」を作成します。

2.加工機の自動工具交換(ATC)を利用する

ATC装置を使って切削工具からタッチプローブへ自動交換させ、人による作業を排除します。

自動工具交換(ATC)装置を利用して切削工具からタッチプローブに自動で交換させる必要があります。手動で工具を取り付ける方法では、人による作業が必要になってしまうためです。

3.削りカス(切粉)と切削油を取り除く工夫をする

測定エラーを防ぐため、測定箇所の切粉や切削油を自動で洗浄・除去する工夫が必要です。

寸法測定する前に、加工ワークをきれいに洗浄する必要があります。何故なら、切削加工後の加工ワークには切粉(キリコ)と呼ばれる削りカスと切削油または切削剤が付着しているからです。加工~測定までを自動化するためには、洗浄を自動化する必要があります。洗浄を自動化するためのアイデアは2つあります。

アイデア1)エアーで吹き飛ばす

加工機のエアーノズルからエアーを強く吹き付ける方法があります。測定する前に、測定箇所付近の切粉や切削油/剤をエアーで吹き飛ばします。これはプログラムで実現可能です。ただし、凹形状部に堆積した切粉などの洗浄は、エアーを吹き付ける時間を長めにするなどの工夫が必要です。

アイデア2)切粉を小さくする

荒加工の切粉は1つ1つが大きくなりがちです。なるべく切粉を小さくすることで、エアーで吹き飛ばしやすくなります。荒加工時の切粉をエアーで吹き飛ばすのが困難な場合は、切粉が小さくなる荒加工専用の切削工具がおすすめです。高送りに対応した工具であれば、荒加工時間の短縮にもなります。





複数のワークに対して連続自動運転するための運用アプローチ

加工測定までを複数のワークに対して連続で行う場合は、それなりの工夫が必要です。その方法は大きく2つ考えられます。

1.機械テーブルに複数のワークを配置して連続運転する

複数のワークをあらかじめテーブルに固定し、加工原点を切り替えて連続運転を行います。

加工するワークを加工機のテーブル上に複数配置する方法です。加工原点を切り替えて連続運転します。ワークを機械テーブルに固定する方法は2つあります。

  • マシンバイスでワークを固定する
  • テーブルに直接固定する

上記1はワークが小さい場合によく使われる方法です。マシンバイスと呼ばれる固定ツールを使います。マシンバイスを機械テーブルに固定し、そのマシンバイスにワークを固定します。マシンバイスを常に固定しておくことで、短時間でワークを固定できます。上記2はマシンバイスでは固定できない大きさのワークに用いる方法です。クランプと呼ばれる治具でワークをテーブルに固定します。いずれも各ワークの加工原点出しを事前に終えておくことが重要です。

2.自動ワーク交換装置を利用して連続運転する

自動パレットチェンジャーなどの装置を活用し、ワーク自体を自動で入れ替えて連続運転します。

自動ワーク交換装置(ワークチェンジャー)を利用する方法があります。自動パレットチェンジャーと呼ばれる装置もあります。この方法で自動運転&無人運転を行っている事例があります。





加工機による寸法測定を導入する前に知っておくべき「困難なこと」

加工機を使った寸法測定では困難なことがあります。

1.タッチプローブが届かないところは測定ができない

プローブ球の大きさや軸の長さの限界により、物理的に届かない箇所は測定できません。

タッチプローブの先端球(プローブ球)の大きさと軸の長さでは測定したい箇所に届かない場合があります。先端のプローブ球を小さいサイズに交換することで、測定が可能になる場合があります。また軸を長いものに交換することで、測定が可能になる場合もあります。それでも届かない箇所は測定ができません。

2.手動タイプのタッチプローブでは自動測定ができない

担当者の手動操作や目視判断が必要な手動プローブでは、自動測定への移行は困難です。

手動タイプのタッチプローブでは自動測定ができない何故なら担当者の操作が必要になるためです。タッチプローブの移動は手動です。ワークとタッチプローブの接触は、ランプや音で判断します。自動測定のためには、自動タイプのタッチプローブが必要です。





まとめ

複雑な金型部品でも、加工機を測定機代わりにする機上測定なら寸法測定の自動・無人化を検討できます。

従来のように3次元測定機を使った寸法測定では、自動測定を実現することは簡単ではありません。加工機を測定機代わりにすることができれば、寸法測定が自動化できます。更に加工~測定までを自動&無人化できる可能性もあります。是非一度、ご検討されてはいかがでしょうか?

加工機で寸法測定する「機上測定」を導入することで、寸法測定が自動化できます。この記事が参考になれば幸いです。

Cimatronをお使いの方へ

弊社が販売・サポートしている統合3次元CAD/CAMシステムCimatronには機上測定のオプションがあります。弊社ホームページに紹介ページがありますので、ぜひご覧ください。この下にあるリンクをクリックすると紹介ページをご覧いただけます。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

各種お問い合わせ

CONTACT

お電話でのお問い合わせ

  • ◆関東営業所

    048-733-7011

  • ◆名古屋営業所

    052-819-4500

  • ◆大阪営業所

    06-6388-3311

  • ◆広島営業所

    082-292-1331