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STLのデータを活用してデザインモデルの金型を加工するためには?│製造業向けCAD/CAM/CAEシステムのセイロジャパン

STLのデータを活用してデザインモデルの金型を加工するためには?

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STLのデータを活用してデザインモデルの金型を加工するためには?

STLという形式のデータをご存知でしょうか?
三角形の面が集合して形状を表しているデータで主にデザイン関係、解析、検査などで使用されてきたデータ形式です。
最近は3Dプリンタのデータ形式として使用されており設計の現場でも身近なデータとなってきました。
WindowsにもSTLの形状を読み込み表示することができるアプリケーション(3dビューア)が付属しておりますのでサンプルのアニメーションなどを見られた方もいらっしゃると思います。
今回は「金型試作用CAD/CAM Cimatron」を使ってSTLの形状を元に簡易型を作成してみるという手順をご紹介いたします。

具体的には
STEP 1.木目のデザインを3Dスキャナーで取り込みます。
STEP 2.その形状をマウスモデルに貼り付けます。
STEP 3.マウスの反転形状にパーティング面を作成し金型形状(キャビティ)を作成します。
STEP 4.金型を加工するパスを計算させます。
STEP 5.金型形状を加工します。

これからご説明する内容は、以下に該当される方を対象としています。

  • デザインされたSTL形状を加工したい
  • デザインされたSTL形状を元に簡易型などを作成してみたい。
  • STL加工に興味のある方





スキャナーを使って木目模様を読み取る。

ちょっと古ぼけた木材の模様を3Dスキャナーで取り込みます。凹凸がうまくでていない場合はCADで読み込んだ後にZ方向だけ倍率を掛けデフォルメします。
STLを扱えるデザインCADを活用して形状を面白く修正しても良いでしょう。
CAD上で形状を確認して使用できる状態にします。

スキャン形状の例

3Dスキャナで取り込み調整した形状





マウスのモデルに木目の形状を貼り付ける。

モデル形状にスキャナーで取り込んだSTLを貼り付けます。
STL形状を面に沿って変形させ不要な部分をカットします。
簡単な貼り付け機能がCimatronにはありますが、もっと細かい調整を行いたい場合はデザインCADを使っても良いでしょう。
下図はモデル面にCimatronの機能を使ってSTLを貼り付けた例です。





パーティング面を作成し反転形状を作る

モデルの形状からパーティング面を作成します。
モデルの分割部分から面を張り反転形状を作成します。
サーフェイスの機能を使って自由曲面を作成しSTLの形状を含めたキャビティ形状にします。
今回は面とSTLの交差はありませんが、交差するときにはそれぞれカットすることで反転形状のモデルを作成する事ができます。
モデリングをしていく上で、面、STLを相互間でカットや分割ができる必要があります。

STL形状を貼り付けたモデル モデルから反転のキャビティを作成
交差しているSTLと面のカット(例)





形状の確認を行う

作成したキャビティ形状を確認します。
形状全体の勾配をカラーマップで確認したり、任意の位置で断面線を作成して形状を確認することもできます。
ソリッド、面、STLをまとめて確認することが可能なので簡単に短時間で確認ができます。問題がなければ次の作業に進みます。

各面の傾斜角度の確認

断面の確認と断面線の作成





キャビティ形状を加工するパスを計算する

反転形状(キャビティ)の形状が完成したら加工パスを計算させます。
加工工具、加工条件、加工方法、残し代などを決定して計算させます。
加工工程は荒加工、中荒加工、中仕上げ、仕上げ加工を行い最終仕上げはR0.5のボールエンドミルで行います。
ソリッド、面、STL、混合の状態でパス計算を行う事が重要になります。

荒加工パス

中荒加工パス

中仕上げパス

仕上パス STL形状に沿った加工パス

実際はもう少し工程は多くなります。次の加工の説明をご参照ください。





金型形状(キャビティ)の加工

計算された加工パスをNCデータとして出力しマシニングセンタで加工します。
加工された結果のワークの写真をご覧下さい。

荒加工、中荒加工 加工工程表

工具 工具直径 工具R Zステップ XYステップ 送り 回転 仕上げ代 加工時間
D20R1.2 20 1.2 1 11 1,273 4100 1.0 0:27:00
B5R 10 5 2 2 859.32 4774 0.2 0:39:00
B3R-R 6 3 0.4 0.5 2000 8000 0.1 1:15:00
B2R-R 4 2 0.3 0.5 2000 11936 0.1 0:11:00
B2R-F 4 2   0.1 1500 18000 0.1 1:45:00

荒、中荒加工後

仕上加工 工程表

工具 工具直径 工具R XYステップ 送り 回転 仕上げ代 加工時間
B2R-F 4 2 0.1 1500 18000 0.0 0:22:00
B2R-F 4 2 0.1 1500 18000 0.0 0:49:00
B0.5R-R 1 0.5 0.05 760 19000 0.05 3:14:00
B0.5R-F4 1 0.5 0.02 760 19000 0.0 5:37:00

仕上加工後

加工終了後のワーク

マウス予想図(レンダリング)





まとめ

  • Cimatronは、デザインCADや3Dスキャナーによって作成されたSTLの形状を取り込むことができます。
  • 面とSTL相互間でのカット、分割が可能。モデリングの幅を広げます。
  • ソリッド、面、STLの混在状態で荒加工、仕上加工、隅取り加工などのパス計算を行えます。
    1つのシステムで荒取りから仕上げまで全て行うことができます。


以上により、3Dスキャナーやデザイン系CADのデータを活用した製品設計、試作、金型製造などを強力にサポートします。




是非ご検討ください

以下のような方は、是非お問い合わせください。
スキャナーのデータを読み込んで加工に応用したい!
STLを読み込んだ後、面を張ったりモデルを分割したりモデリングをしたい!
色んなSTLデータを使って加工を行いたい!



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