【現場の決定版】3D CAD中間ファイルの使い分け! STEP・IGES・PARASOLIDの特徴比較

取引先や協力会社、加工メーカーと3D CADデータをやり取りする際、こんなトラブルを経験したことはありませんか?
- 「送ってもらったデータが、うちのCADで開けない……」
- 「データ形式を変換して読み込んだら、面が剥がれて(化けて)ボロボロになった!」
- 「結局どれで出力して渡すのが正解なのか分からない」
異なる3D CAD間でデータを正しくやり取りするには、適切な「中間ファイル(共通データ形式)」の選択が不可欠です。
今回は、現場で頻繁に使われる主要な中間ファイルの特徴と、データ化けを防ぐための使い分けのポイントを分かりやすく解説します!
基本は互換性の高い世界標準の「STEP」を第一選択とします。
相手の環境でSTEPが開けない場合は「IGES」、双方がParasolid系CADなら「Parasolid」を使用しましょう。
相手の環境に合わせて形式を使い分けることが手戻りを防ぐ鍵です。
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目次
なぜデータ変換で「データが化ける」のか?

中間ファイルの解説に入る前に、なぜデータ変換時にトラブルが起きるのかを知っておきましょう。
主な原因は、CADソフト(SolidWorks、NX、CATIA、Cimatronなど)ごとに内部の「幾何カーネル(計算プログラム)」が異なること、そして「トレランス(許容公差・精度設定)」に違いがあることです。
- 数式の翻訳エラー:
日本語を英語に翻訳するときにニュアンスのズレが生じるのと同様に、異なる幾何カーネル間で曲面の数式を変換する際に、どうしても微小な計算誤差が発生してしまいます。 - トレランス(許容精度)の壁:
例えば、CAD Aにおいて「0.01mm以下の隙間は接している」と判定してソリッド化されたデータでも、精度基準(トレランス)が厳しいCAD Bで読み込むと「面と面の間に隙間がある(オープンシェル)」と判定されてしまうことがあります。その結果、ソリッドが破綻し、面が剥がれた状態(サーフェス)になってしまうのです。
このような翻訳エラーや公差の不一致を最小限に抑え、手戻りを防ぐためには、適切な中間ファイルと出力設定を選ぶ必要があります。
主要な3D CAD中間ファイルの特徴と用途

現場でよく使われる4つの代表的な中間ファイル形式について、それぞれの強みと使いどころを見ていきましょう。
1. STEP(.STP / .STEP):現在の世界標準・第一選択の形式
- 定義: 国際標準化機構(ISO)が策定した、最も推奨される世界標準の中間ファイル形式。
- 特徴: 非常に高い互換性を持ち、3Dの形状データだけでなく、アセンブリ構造(部品の組み立て情報)や色属性、製品製造情報(PMI)まで高い精度で保持できます。
- 用途: 異なるCAD間で製品データを丸ごと渡したい時の第一選択。「迷ったらまずはSTEP」が現代の製造現場の鉄則です。
2. IGES(.IGS / .IGES):日本の製造・金型業界で長年愛されるベテラン
- 定義: 1980年代に米国で開発された、最も歴史のある中間ファイル形式。
- 特徴: 現在の仕様ではソリッドデータ(Entity 186など)にも対応しており、古いCAD環境から最新CADまで幅広く開ける普及率の高さが魅力です。ただし、CAD側の設定や変換時の相性によっては「サーフェス(面データ)」として書き出されたり読み込まれたりすることがあり、意図せず面が剥がれてソリッドが崩れるケースがあるため、出力設定には注意が必要です。
- 用途: 日本の自動車業界や金型業界の既存ライン、STEPに対応していないレガシーなCAD環境とのやり取り。
3. PARASOLID(.X_T / .X_B):特定CAD間で無敵の精度を誇る
- 定義: SolidWorksやNXなどが共通して採用している幾何計算カーネル「Parasolid」のデータを直接書き出した形式。
- 特徴: 中間ファイルでありながら、同じParasolidカーネルを搭載したCAD同士であれば、データが化けることなくほぼ100%の精度で受け渡しが可能です。
- 用途: 同社内や協力会社間で、互いの使用CADがParasolid系だと判明している場合のやり取り。
4. DXF / DWG(.DXF / .DWG):2D図面連携や2.5次元加工の必須形式
- 定義: Autodesk社が開発した、2D CADの業界標準フォーマット。
- 特徴: 3Dモデルそのものではなく、ワイヤーフレームや2D図面、投影図のやり取りに使用されます。
- 用途: プレートの穴開け加工など2.5次元CAMへの取り込みや、2D図面データの受け渡し。
トラブルを防ぐ!データ形式の選び方チャート
取引先にデータを送る際、どの形式を選べばいいか迷ったら、以下の優先順位で検討してください。
- 相手と同じCADソフトの場合
👉 専用形式(ネイティブデータ)で渡す(データ化けリスクゼロ) - 相手とCADソフトが違う場合
👉 まずは STEP(.stp) で出力する - 相手のCADが古く、STEPが開けないと言われた場合
👉 IGES(.igs) で出力する - 相手のCADがSolidWorksやNXだと分かっている場合
👉 Parasolid(.x_t) で出力する
CADで扱う3Dデータ形式や拡張子の種類を分かりやすく解説しています。こちらもよければ!
まとめ:3D CAD中間ファイル(STEP・IGES・PARASOLID)の違いと選び方
異なる3D CAD間でデータをやり取りする際、トレランス(許容公差)やカーネルの違いによる「データ化け(面剥がれやソリッドの破損)」を防ぐための最適な使い分け基準は以下の通りです。
- STEP(.stp)は「最も推奨される世界標準フォーマット」
互換性が極めて高く、形状・アセンブリ・色情報を高精度に保持できます。異なるCAD間でデータを受け渡す際の「第一選択」として使用します。 - IGES(.igs)は「旧環境向けの代替フォーマット」
ソリッド表現にも対応し普及率は抜群ですが、変換相性によりサーフェス化(面剥がれ)しやすいため、相手の環境でSTEPが開けない場合のみ使用します。 - Parasolid(.x_t)は「同カーネル間での高精度フォーマット」
SolidWorksやNXなど、互いにParasolid系CADを使用していると判明している場合、計算誤差が起きず最も安全にデータをやり取りできます。
3D CADデータの変換トラブルを防ぐには、まず相手のCAD環境(カーネル)を確認し、基本ルールとして「STEP」を優先して出力するのが最も手戻りの少ない確実なアプローチです。




