クリエイティブテクノロジー株式会社様【プラスチック金型メーカー】複雑形状でも、設計時のミスが大幅に低減!

複雑形状でも、設計時のミスが大幅に低減。海外との分業と協業も加速。
自動車部品の軽量化を追求
当社の特徴は、「大物」にあります。自動車プラスチック部品のうち、バンパーやスポイラーなどの主要外装品、またインパネ、デッキサイドトリム、ドアトリムなどの内装品を成形するための大物射出成形用金型(成形機 650〜3,500tクラス、最大で40tまで)を製作しています。現在は量産をメインに、複数の自動車メーカーから受注をしています。
樹脂製品の薄肉化によって、金型内部では樹脂が早く冷えるようになりました。そのために従来よりも樹脂の流動性が悪くなり、固化も早まります。こうした現象は、結果的に形状不良や表面のひけの発生にもつながります。
そこで、射出圧力を高めたり、樹脂や金型の温度を調整しますが、そうすると今度はバリや寸法の問題が出てきます。私たちが設計する際には、冷えて固まり収縮したときに、ピタリと目標寸法となるようにするわけですが、その予測が狂ってしまいます。
金型内部をいかに設定温度に保つかという課題を解決するには、金型内部に流す水の温度と流れをコントロールする必要がありますが、多点ゲートの場合には、冷却回路スペースの確保が難しくなります。
こうした問題を解決するために、バルブシステムを開発するとともに、ソリッド設計を導入することによって、より高度な設計と製作時間の短縮を図りました。
ソリッド設計導入とともに設計業務を整備
当社が 3 次元 CAD/CAM システムを導入したのは、1985 年と早かったのですが、設計のソリッド化は出遅れました。
今回改めてソリッド設計を導入するにあたり、社内で運用している設計基準書の見直しや標準化の促進、またインフラの整備も必要となりました。それまでは、「ΦSTATION」を 使っていましたが、これを機に新しい CAD/CAM システム「Cimatron」を導入することになりました。

左:設計部 部長 根木宏彰氏
右:設計課 課長 松浦竜二氏
「Cimatron」の導入では、当社の設計業務に適合させるために、セイロジャパンさんにも助けてもらいました。「Cimatron」では、たいへん高度な作業ができますが、そのぶん機能がたくさんあり作業の標準化を考える上では、ベテランのノウハウを結集する必要があり、導入の準備期間としては1 年ほどかかりました。しかし、運用を始めるとすぐに改善効果を実感することができました。
設計工程を3割短縮、図面や指示書を 5 割以上廃止
まず、ソリッドによるモデリングで、面トリム作業が飛躍的に改善されました。形状作成や変更が容易になっただけでなく、面抜けやトリム忘れといったトラブルも大幅に減らすことができました。また、帳票変換プログラムによって、電極加工図面と放電用帳票の自動作成が可能となり、設計工程を3割短縮することができました。
冷却回路や穴の設計では、従来にない斜めに穴をあけるなどアグレッシブな設計が可能となり、干渉チェックも行えるため、設計によるミスが激減しました。
そして、CAD から CAM まで一貫したデータを扱うことにより、機械加工の作業者も 3 次元形状を確認することによって、従来必要とされた図面や指示書を 5 割以上も廃止することができました。

精密機械加工 (複合加工)
また、グローバルな協業も進んでいます。韓国では流動解析を依頼しますし、タイと中国には「Cimatron」が導入されているため、海外との分業と協業によって設計の効率化を進めています。こうした取り組みでも、「Cimatron」の導入は効果がありました。
そして最近では、客先との打ち合わせで 3次元の画面を見てもらい細部を詰めることができるようになりました。まだ少数ですが、3次元の設計図でOKをもらえる会社も出てきているので、設計の確定までにかかる時間が大幅に短縮できるようになりました。
こうした変化に対応していくためにも、今後もセイロジャパンをはじめとするパートナー企業との連携を深め、グローバルで勝ち残っていける設計開発力を培っていきたいと思います。

放電加工機
(株式会社牧野フライス製作所、EDNC-207)

大型射出成形機 3500t
インタビューご協力
協力会社 | クリエイティブテクノロジー株式会社 様 |
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ホームページ | http://www.cretech.co.jp/ |
所在地 | 静岡県浜松市浜北区中瀬 5300-1 |
創業 | 1977年 |
事業内容 | 量産用射出成形金型や試作用簡易金型等の設計・製作・保守 |