【半導体×5軸】極小・薄肉加工をGO2camで実現。現場が選ぶ圧倒的な直感性とは。【株式会社大西製作所】

急速に拡大する生成AIやEV(電気自動車)市場により、活況を呈する半導体業界。
その製造プロセスを支える「検査装置」の分野で、他社が敬遠するほどの微細・薄肉加工技術を持つのが株式会社大西製作所(京都久御山)だ。
同社は、ブラザーの5軸加工機と3D CAD/CAM『GO2cam』を活用し、従来5〜6工程かかっていた複雑形状の加工を1工程に集約。
「面倒な仕事にこそ価値がある」と語る代表取締役の大西氏と、製造現場を牽引する谷川氏に、導入の経緯と、半導体部品加工におけるGO2camの活用メリットについて話を伺った。
Quick Summary この記事のポイント
- 課題: 半導体装置向けの極小・薄肉加工において、既存CAMの操作性と柔軟性に限界を感じていた。
- 解決: 現場が求める「圧倒的な直感性」を備えたGO2camを導入し、複雑な5軸プログラミングを簡略化。
- 成果: 高精度加工の安定化とリードタイム短縮を実現。
1. 会社の強み
「くしゃみで飛ぶ」ほどの極小・薄肉部品加工。
同社の最大の強みは、一般的な加工業者が敬遠する極小サイズかつ、細かい形状の部品加工にある。 主力とするのは、半導体検査装置周辺の精密部品だ。これらは指先に乗るサイズどころか、わずかな風圧で飛んでしまうほど軽量で微細なものが中心だ。
肉厚1mm以下の薄板に対する切削や、0.2mm〜0.3mmといった極小径の穴あけ加工を日常的に行っている。これらは少しの負荷で歪みや破損が生じるため、極めて繊細な制御が求められる。
通常のバイスで掴めば製品が潰れ、固定が甘ければ加工中に飛んでしまう。同社では、長年の経験に基づく独自の治具・固定ノウハウを確立。「他社が断る仕事でも、大西製作所ならなんとかなる」と言わしめる理由がここにある。
2. 導入前の課題:高まる「微細化・複雑化」への対応
これまで使用していたのは、20年ほど前に導入した古いCAMシステム。近年の複雑な3D形状に対し、意図したツールパスを作成するには膨大な手間と時間がかかっていた。
「加工できないことはないが、とにかくプログラム作成が面倒で非効率。増え続ける工数に限界を感じていた」と大西社長は当時の苦悩を振り返る。
3. 選定の決め手:現場が選んだ「直感的な操作性」
日々、初見の図面。 試作加工だからこそ、直感的な操作性で効率的に。
選定を担当した谷川氏は、試作加工業ならではの事情をこう語る。 「我々の元に来るのは、毎日が『見たこともない形状の図面』ばかりです。他社の高機能CAMは、設定項目や数値入力があまりに多く、毎回ゼロから設定するには手間がかかりすぎると感じました。対してGO2camは、アイコン主体の画面で、『ここから削りたい』『こう動かしたい』という頭の中のイメージを、そのまま直感的にパスとして描くことができます」
日々異なる難題に対し、試行錯誤の思考に対応できる柔軟性。これこそが、大西製作所がGO2camを選んだ決定的な理由だった。
大西社長の「道具選びは現場に任せる」という方針も導入を後押しした。「社長同士の付き合いやネームバリューで決めても、現場が使いにくければ意味がない。実際に使う人間が『これがいい』と選んだものなら、間違いなく活用してくれる」(大西社長)。
現場からの提言 失敗しないCAM選びの極意。
「使う人間」が選び、「納得」して導入すること。
最後に、谷川氏は同業他社に向けて、ツール選定のあり方についてこう提言した。
「CAM選びで失敗しない唯一の方法は、『実際に使う現場の人間が選ぶこと』に尽きます。経営者や上層部がスペックや付き合いだけで決めて『これを使え』と現場に下ろしても、使い勝手が悪ければ結局使われなくなってしまいます」
「加工の責任を負うのは現場です。だからこそ、現場の人間が実際に触って、『これならいける』と納得したものを選ぶ。自分で選んだ道具なら、責任を持って使いこなそうとしますし、結果としてそれが一番の成功への近道だと思います」
4. 導入効果:5工程を1工程に集約
導入後、同社ではブラザーの5軸加工機とGO2camを連携させ、大きな成果を上げている。
1. 多面加工の工程集約
従来は「上面を削って、手で掴み直して横を削る」という段取り替えを5〜6回繰り返していた製品が、5軸加工機のワンチャッキングで完結。段取り時間が大幅に削減され、機械の稼働率が向上した。
2. 難加工への対応力向上
GO2camは微細な工具や複雑なアプローチの制御も容易だ。「掴みにくい」形状であっても、GO2camの柔軟なパス作成機能と同社の固定ノウハウを組み合わせることで、高精度な加工を実現。
3. 誰でも扱える標準化
直感的な操作性により、熟練者だけでなく若手社員でも短期間で習得が可能に。「GO2camなら、頭の中にある加工イメージをすぐに形にできる」と現場の評価も高い。
5. 今後の展望:他社が敬遠する仕事にこそ価値がある
半導体市場は今後も拡大が見込まれるが、単純な加工部品は価格競争に巻き込まれやすい。大西製作所が目指すのは、あくまで「他社がやりたがらない、面倒で難しい加工」だ。
「面倒な仕事にこそ、高い付加価値と利益が生まれます。5軸加工機とGO2camという武器を使いこなし、技術と知恵で勝負していきたい」と大西社長は語る。
その先に見据えるのは、設備の増強だ。
「このスタイルでしっかりと利益を出し、ゆくゆくは5軸加工機をもう1台増設したいと考えています。そのためには、今の設備とGO2camを最大限に活用することが第一歩です」(大西社長)。




