株式会社室島精工様【プラスチック金型メーカー】CAMのパス出しから仕上げ加工の作業時間が約2割減!仕上げ精度もアップ

Cimatron の特性を生かして金型製作の効率化を図る中ΦSTATIONからCimatronへのスムーズな移行
室島精工 (本社: 石川県かほく市木津八45番地1. http://www.muroshima.co.jp/) は、金型製作から射出成型まで、「金型メーカーによる成型加工」をテーマとして一貫対応をおこない、多方面において活動している。同社では、1996年より中ΦSTATIONを導入、その後CimatronEへのバージョンアップを行い、今日まで同社の主力CAD/CAMとして活用している。
今回は、同社専務取締役の室島満氏とテクニカルリーダーの東田啓史氏にCimatronの導入効果について話を伺った。
ΦSTATIONからCimatronへの移行
同社は、当初は鉄工所として、近郊の重機メーカー向け部品加工などを行っていた。 しかし、高度成長期の終わりころより、オイルショック、ドルショックに遭遇して業態の転換をはかり、25年程前に金型製作の経験者を招き金型製作をスタートした。 当初は、押し出しダイスの加工などを行っていたが、その後プラスチック金型に転換し、現在では、大半が自動車関連、その他OA分野などの業務内容となっている。また、石川県が県下の企業向けに設備した成形機を同社施設内に移築し、現在では県の成形トライセンターとしても活躍している。

工場内部
ΦSTATIONの導入
ΦSTATIONの導入は、1996年。従来使用していた2.5Dシステムに代わるメインシステムとして、数機種を比較し、ノウハウを活かせるシステムを、と考えて選択した。室島専務自身が大阪での講習に参加し、すぐ実務での使用をスタートした。 この第一回目のシステム移 行に際し、室島専務は、「これでやるしかない、と考え取り組みました。見切りが重要だと思います。」と語る。生産体制も中ΦSTATIONに合わせたものに変更し、導入の効果として、従来の2.5Dのシステムに比べ生産性を30%~40%向上できたという。
ΦSTATIONからCimatronへの移行
ΦSTATIONからCimatronへの移行は、2005年7月、Cimatronバージョン6の段階で実施した。チームリーダーの東田氏は、それまで2年間ほど中ΦSTATIONのCAMを使用していたが、Cimatron移行の担当となり、名古屋で行われた3日間の講習に参加し、すぐに実務での使用を開始した。ΦSTATIONとCimatronでは、操作性やコマンドの体系も異なり、最初は少し戸惑ったが、1-2か月でだいたい使えるようになったという。
Cimatronへの移行のメリットとしては、様々な機能性のアップによる生産性の向上があげられる。「クイックスプリットがキャビ、コアの筋道を分けてくれ、大きな効率アップとなっています。クイックコンペアは、頻繁に行われる設計変更において、特に2D図面が無い場合など、途中の工程を含め一気に変更を行えるので非常に有効です。その他Cimatronになって備えられてきた、より広い機能性が生かされています。」と東田氏。

また、加工時間は中STATIONに比べ、等高線加工やクリンアップ加工が速くなったため、CAMでのパス出し~仕上げ加工までのトータルの時間は約2割改善され、仕上げの精度もCimatronになって良くなったという。 (東田氏)
ちなみに、同社では、型設計はおこなっておらず、図面は使用せず、3D画面を見てイメージを持ち、現場で作業するという方法によって図面作成工数を省いている。
一方「ΦSTATIONからCimatronへの移行において、何か困ったことはなかったか?」との質問に対しては、以下のような返答が返ってきた。「別システムなので、操作を覚えることが一番。この機能がないから、忙しいから、新しいものを覚えるのが大変だから、と言っていては何もできない。時間がないというのは、会社トップが解決すべき問題。今までと同じやり方ができない場合は別のやり方で行う、ということですね」 (室島専務)

作業画面
CimatronEの特性を生かした金型造り
実際同社では、ΦSTATIONとCimatronの特性の違いを踏まえ、かつCimatronの新しい機能性を生かしてシステムを効率よく使用している。Cimatronでは、ハイブリッドシステムであるが、同社の仕事の内容に合わせ、モデリングの80%は、Cimatronのサーフェス機能を使っているという。
「ソリッドだけでは型は作れません。サーフェスはなくならないと思いますね、融合されていくのかも知れませんが。Cimatronのサーフェス機能にそう問題は感じません。フィレットだけでなく、ブレンド面、ドライブ面などもよく使います。」と室島専務。
このような姿勢で取り組むことで、Cimatronへの移行期間であった1-2か月も、もっぱらCimatron で作業を行い、仕事が止まったことは一度もなく、スムーズな移行が可能であったという。

Lexus社ボディーカラーサンプル

金型の粗加工
もの造りに貪欲に取り組みたい
今後の市場の動向について、室島専務は、様々な懸念を持っている。
「市場全体のパイは決まっており、飽和状態です。ここで、どのような強みを出していくか。日本は、日本のやり方に執着しすぎているかも知れません。ヨーロッパはマニュアルのやり方に優れており、そこでCimatronがどのように使われているかも知りたいですね。」
「ものづくりに貪欲に取り組んでいきたいですね。今までは職人は感覚でやっていたが、これからは理論値も必要です。小径になれば、加工しているものが目で見えず、理論値がなければ問題を発見できません。当社のメンバーも職人でなく、エンジニアと呼べる人材になってほしいと思います。まったく独自の技術というものは、なかなか難しいが、総合的に、 これは室島でなければできない、というような強みをもてるようになっていきたいですね。」と室島専務は抱負を語ってくれた。
インタビューご協力
協力会社 | 株式会社室島精工 様 |
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ホームページ | http://www.muroshima-sk.com/ |
所在地 | 石川県かほく市 |
創業 | |
事業内容 | 自動車内装・外装、OA機器、家電などの樹脂製品制作のための射出成形業務。樹脂製品各種設計・製造 |