仕上げの加工面にスジが残っていませんか?#生島
NC加工機を効果的に使用しようとすると、CAMによりNCデータを作成することが求められます。
しかし、CAMの画面上で表示されるツールパスとNCデータは異なるため、その違いにより思わぬトラブルが発生することがあります。
今回は、CAM上のツールパスとNCデータの違いにより生ずる問題の一つである、仕上げの加工面にスジが残る現象とその対策について説明します。
加工面にスジが残る現象について
等高仕上げ加工など、Zを一定にしてXY移動で曲面の加工を行うと、加工面にスジが残り、きれいにならない場合があります。
この現象は、回転形状に近い加工面を、円弧補間をR出力にした場合に起こります。
スジができる原因
NCデータはCAMデータとは異なり、0.001単位に四捨五入で丸められています。
条件がそろうと、この丸め誤差の影響が視認できるレベルになります。
あくまで、CAMデータをNCデータにするときに生じる丸め誤差に起因するため、CAMのシミュレーションでは確認できません。
(NCSIMULなど、NCデータのシミュレーションソフトでは確認できます)
条件について
丸め誤差(0.0005mmレベル)の影響が視認できる(0.1mmレベル)大きさになる条件は 半円に近い円弧補間をR出力するときになります。
ここで、半径99.9995の半円について考えてみます。
半径99.9995は四捨五入により半径100の円弧としてNCに出力されます。
このとき、半径99.9995の半円と半径100の円弧との間には約0.316の隙間が生じます。
実際は、半径R以外にも、始点、終点座標にも丸め誤差が生じるため、CAM上のツールパスとNCデータ上のツールパスの差は0.447まで拡大します。
対策(どれか1つでOK)
- 円弧補間を使わない
- 円弧補間が原因であるため、円弧補間そのものの使用を避けます。
- 円弧補間をIJ形式にする。
- IJ出力であれば、丸め誤差の影響を大きくは受けないため、出力形式を変えます。
- 半円に近い円弧補間を行わない。
- 丸め誤差の影響を受けるのは半円に近いときのみなので、半円を複数の円弧に分けます。